思案中

あなたの暇つぶしになれば

今週のお題「紅白鍋合戦2023」 私のささやかな鍋合戦論

 紅白鍋合戦2023。ついにこの季節が来てしまったかと、私は天上を仰いだ。そこには見慣れた天井がある。あの紅白鍋合戦がついに復活した。私は興奮を抑えるため、わざとゆっくりに空気を吸い込み、酸素で血中を満たそうとした。肺が裂けそうなくらい膨らんだところで息を吐いて、冷静な頭でもう一度確認した。「紅白鍋合戦2023」。なんだそれ?

 

今週のお題「紅白鍋合戦2023」

 

 どうやら知らぬ間に、日本は鍋合戦なるお祭り紛争状態に陥っていたようだ。大切な人と我が身を守るためにも、私達は全霊を以てしてこの合戦に臨み、勝利という名の栄養を獲得しなければならない。

 

 たしかに、最近はめっきり寒くなり、息を吐けば白くなり、虫もすっかり姿を隠し、雪がちらつく季節となった。それに併せて、TVのCMやネットの記事では、見たこともない最新の鍋合戦情報や、この冬食べたい鍋合戦など、我々庶民の鍋合戦欲を煽るようなプロパガンダが行なわれている。日照時間が短く、気温が下がると、何故か日本人は鍋合戦をしたくなるという、全子相伝の思考回路と連綿と受け継がれたDNAを体に宿しているため、先ほどのプロパガンダはそこにつけ込んだ頭の良いマーケティング戦略といえる。

 

 漏れなく私も、毎年鍋合戦に参戦している一人の男である。鍋合戦は一度経験するとそのシーズン中はなかなか止められない。熱と栄養を美味しく体内に取り入れられるし、しかも鍋に水と具材をツッコんで、コンロのつまみを左一杯に切る。これだけで勝負がついてしまうのだ。洗い物も少なくて済むため、独り暮らしの人間には有難い。

 

 上記の文章から察せられるように、私は料理にほとんど関心がない。別に料理が嫌いというわけではなく、料理に割く時間があるなら別のことをしたいと思ってしまうし、そもそも仕事が遅いので時間的余裕がないのだ。しかし、そんな私でも最低限お鍋を美味しく頂きたいという欲求は備わっているため、脳みそを絞るという物理的には可能だがあまりにも代償が大きすぎる恐ろしい慣用句を実現させ、ささやかながら自分なりに編み出した鍋合戦論がある。といっても、世間の皆様から見たら、火を初めて使った猿が「肉って焼いた方が旨いんですよ?」と無知っぷり全開で語ってるようにしか見えないだろう。内容は全く大したことではございません。そこはご了承ください。

 

 ①ニンニク

  鍋合戦に限らず煮込み系にはほとんど入れてしまうニンニク。これをいれると旨みが増すと勝手に思っていて、入れれば入れるほど旨みが増すとも思っている。旨み増す論については嘘をついているかもしれないが、栄養的には免疫力を高めたり体に活力を与えてくれるので、入れてて間違いはないと思う。

 ②味ぽん

  とりあえず味ぽんがあれば、大抵の鍋合戦は勝利することができる。ただし洋風の鍋(トマト鍋とか)には通用しないので(なんなら悪化するかも)使いどころには注意。敵が豆腐の場合はとてつもない威力を発揮する。味ぽんをつけてはふはふして食べるのは至高と思っている。

 ③春菊

  ほろ苦く少し青臭いのが癖になる。ぐつぐつとお鍋を煮込んだら最後に投入し、あまり火は通しすぎないようにする。しゃきしゃき感が残ってた方が断然美味しい。食べ過ぎるとお腹が気持ち悪くなって鍋合戦に負けてしまうので摂り過ぎに注意。②の味ぽんや醤油ベースのさっぱりしたスープと相性が良い気がする。

 ④白菜

  定番の敵。豚肉と煮込んでその脂や旨みを吸い取ってもらうと、味付けがいらないくらい美味しくなる、と感じている。シンプルに豚肉とのミルフィーユ鍋も良いけど、やっぱり色んな具材と一緒に煮込むことで旨みを無限に吸収して美味しくなるような気がする。しかし最近は価格が高いらしいので、それが玉に瑕。

 ⑤肉

  鶏か豚。動物系のタンパク質と脂質からでる旨みは旨い。

 

 こんな感じで①~⑤をベースに私は鍋合戦を展開しています。しかし③は独り暮らしかつ1回に食べきるには1袋の量が多すぎるので、最近はあまり食べていないです。

 

 こんな感じで書いてましたが、最近は仕事が忙しくてほとんど鍋合戦してません。途中コンビニで、歩きながら食べられる肉まんとかおにぎりとかチキンとかを買って、人気の少ない河原を歩いてるときに歩きながら食べて終わりです。早く残業しなくても良いくらい仕事が出来るようになって、日頃から自炊とかできるようになりたいです。あと本も読んだりジムに行ったり語学の勉強したりする時間もいつかは欲しいです。皆さんも良い鍋合戦をしてください。そうすることで、今回の「紅白鍋合戦」とか言う謎の日本語をこの国に定着させ、後に外国人が、何やねんこの日本語!とか日本語に混乱する姿を見てみたいからです。冗談です。